外壁塗装のときに一緒に塗装することの多い軒天。
近頃は軒の短い住宅も増えていますが、軒が広い方が外壁が長持ちしたり、雨が降っていても窓に雨粒があたらないなどのメリットがあります。
そんな軒天なのですが、どんな色に塗装するのがいいのでしょうか。
わたしはこれまで300棟以上の住宅を職人として塗装してきました。
その経験からお伝えすると軒天の色は白系を塗装した建物が9割以上。
建物のデザインや外壁の色によって白系以外の濃い色であったり原色がマッチする事もありますが、迷っているなら白系。
外壁塗装時の軒天の色は白系がオススメ!その3つの理由とは
多くの一戸建ての軒天の色は白系でしあげられています。一般住宅で黒などの濃い色の軒天を見かけることはあまりありません。
軒天が白系の色になっているのは、それなりの理由があるのです。
その理由とは、
白色系の軒天はどんな外壁色にもマッチする!
軒天の色を決める前に外壁の色を決めますよね。
外壁は建物の大部分の面積を占めているので色選の違いで建物の印象が大きくかわります。
その後、雨樋、破風、そして軒天など付帯部の色を決めていきますが軒天に関しては白系統の色を選べば失敗することはまずありません。
あなたが決めた外壁に間違いなくマッチするのは白系の軒天。
ここでの白系統とはクリーム色や薄いベージュ色なども含みます。
ご近所の軒天はほぼ白ではありませんか?それは様々な外壁色にマッチするというのがひとつの理由。
白色系の軒天は色あせの心配が少ない
集合集宅をおしゃれな感じにするため軒天を黒で塗装したことがあります。
この建物の軒天はケイサンカルシウム板(ケイカル板)。
黒のつや消しで仕上げたのですが、数年後にその建物の前を通ってみると、軒天は見るも無残に色あせてました。
軒天だけに限った話ではないのですが黒などの濃い色は色あせが目立ちます。
建物のデザインや配色により濃い色の軒天がおしゃれに見えたりしますが、数年後の色あせの事を考えるとやはり軒天の色は白系がおすすめ。
軒天が白系だと住まいが明るくなる
あなたのお住いのお部屋の天井は白系ではありませんか?
天井に黒などの濃い色を選んでしまうと、重苦しく感じます。
お店などでデザインが優先される場合は黒や原色、濃い色などが選ばられたりしますが、長く住まいは無難な色が飽きがきません。
軒天が少ししか出てないような最近建物ではポイントとして白系以外を選ぶのもいいでしょう。
しかしながら軒天が広い建物では、やはり白系をおすすめします。
外壁に濃い色を選んだとしても軒天が明るければ、コントラストで素敵な外観になる上に濃い色特有の重苦しさも軒天が白系統であれば軽減されます。
そもそも一戸建ての軒天の役割とは
軒天がある事によって建物にさまざまなメリットがあります。
軒天は屋根裏の換気が行える
屋根裏にたまる湿気や熱気を軒天に穴の空いたボードを取り付けたり換気口を設置して排出します。
妻側や棟に換気口を設ける事で屋根裏換気の効果がさらに高まります。
屋根裏に湿気がたまっていると結露を起こします。
木材は濡れると腐りやすいので屋根裏換気は重要。
以前わたしが外壁塗装をおこなった一戸建てには軒天に換気も穴のあいたボード(有孔ボード)がひとつもありませんでした。
屋根裏の湿気のせいで軒天の旧塗膜がみるも無残にはがれていたので、換気口を設置してから軒天塗装をおこなった経験があります。
軒天は建物の構造を軒天で隠して美しく
軒天は屋根の下地である野地板や垂木をかくし建物の外観をスッキリとキレイに見せる役割もはたしています。
軒天にシミができていたので撤去したときの画像。
やはり、軒天があったほうが建物の美観が向上しますよね。
軒天によって延焼を防止する
最近の一戸建ての軒天は燃えにくい素材(不燃材)で作られています。
万が一火事が起こった場合、軒天は炎が屋根裏へまわっていくのを防ぐ役割をはたします。
もし軒天がなければ火事で屋根が焼け落ちるのは、あっという間でしょう。
一戸建ての軒天の種類と外壁塗装時に使用される塗料
軒天にもいろいろな材質のものがありますが大きく4つにわける事ができます。
c材質によって適切な塗料や工程を選択する必要があるので「軒天だからこの塗料!」と一言でいえるものではありません。
同じ材質の軒天でも新規で塗るのか再塗装なのかによっても工程や塗料がちがうことも。
塗料といってもいろいろ プロ直伝!塗料の知識!外壁塗装の塗料がどれがオススメ?
ケイカル板の軒天に適した塗料
軒天には基本的にツヤ消し塗料を使用します。
屋根裏には湿気が溜まりやすいので透湿性の高いつや消し塗料が向いています。
耐候性は艶あり塗料の方が基本的に高いのですが、紫外線や雨風の影響をうけることが少ない軒天にはつや消し塗料で問題ありません。
新築時にはアクリルエマルジョン系(水性)塗料が使用されることがありますが、再塗装時にはアクリル弱溶剤型のつや消し塗料が頻繁に塗装されています。
エマルション系の塗料と比較すると弱溶剤型は密着力も高く、軒天の雨シミなども抑えることができます。
【日本ペイント】ケンエースGⅡ
【大日本塗料】ビルディック
【エスケー化研】セラミタウンマイルド
ベニヤの軒天に適した塗料
ベニヤの軒天は新築時に合成樹脂ペイントで仕上げられていた時期がありました。
このような時期のベニヤの軒天は劣化していて、そのままでは塗装することができないことがおおいです。
そういった場合は新規に軒天にベニヤを貼り塗装します。
現在ではケイカル板再塗装の時と同じ弱溶剤型のアクリル系塗料がよく使用されています。
【日本ペイント】ケンエースGⅡ
【大日本塗料】ビルディック
【エスケー化研】セラミタウンマイルド
化粧ベニヤに適した塗料
最近は見かけることが少なくなった木目調の化粧ベニヤ。
ベニヤに木目がプリントされた紙を貼っている木目調の化粧ベニヤは新築時に塗装の手間がかからないのでコストを抑えることが可能。
しかしながら、このような木目調の化粧ベニヤの軒天を塗装するのはプロの間でも賛否両論。
塗料クリア塗料は透明なので木目調をそのまま生かした塗装が可能。
化粧ベニヤも劣化が見られる前であればクリア塗装も有効。
劣化が進んでいるようであれば、ケイカル板などに張り替えてしまうのも一つの手段。
金属製の軒天に適した塗料
ガルバリウム鋼板、アルミ製の軒天は錆びにくく耐火性も高いのが特徴。
外壁塗装の時期である10年では、ほとんど劣化がみられない場合もあります。
10年に理由ってあるの? 【プロ目線】外壁塗装が10年はホント?10年には理由がある!
しかしながら金属製の軒天もまったく劣化しないわけではありません。サビや腐食が見受けられる場合、塗装によるメンテナンスが有効。
金属製の屋根に適した塗料は下塗りはエポキシ系の下塗り塗料(さび止め)中塗り上塗りには2液型のシリコン系弱溶剤塗料。
【日本ペイント】ハイポンファインプライマーⅡ(下塗り)ニッペファインSi(中上塗り)など
【関西ペイント】スーパーザウルスⅡ(下塗り)セラMシリコンⅢ(中上塗り)など
【ロックペイント】2液型サビカット(下塗り)ユメロック(中上塗り)など
モルタルの軒天に適した塗料
軒天が外壁と同じようにモルタルで仕上げられている場合、一戸建て住宅では、外壁と同じ仕様で仕上げられる事がほとんど。
塗料ってどれがいいの? 外壁塗装の塗料を選ぶ!プロが伝えるたったひとつの方法とは!?
しかしながら軒天が広めでリシン仕上げがしてある場合、透湿性をかがんがえて専用の軒天用塗料が適している場合もあります。
一戸建て外壁塗装時、軒天の塗装工程(ケイカル板)
軒天の材質によって工程と塗料がかわります。
ここでは近年の代表的なケイカル板の塗装工程をお伝えしておきます。
新築時と再塗装時は工程が違ってきます。
外壁塗装のときの軒天は新築時に塗装してあるので、多くの場合再塗装となります。
軒天の劣化がすすんでいて、張替えた軒天の箇所は新築時と同じような工程で仕上げます。
足場、飛散防止ネット、養生は前提。
ホントに必要!? 外壁塗装に足場が必要な理由。現役塗装職人が語る足場の相場と必要性
ケイカル板の軒天の再塗装
- ケレン清掃
- 隙間や穴の補修
- 中塗り、上塗り
高圧洗浄で軒天に付着した汚れを落とします。屋根裏に水がまわらないように注意しながら慎重に作業を行います。
軒天が乾燥したら、塗膜のはがれ、高圧洗浄で落とせなかった汚れなどを皮スキやサンドペーパーなどで丁寧に除去。
再塗装の工程で一番重要なのですが、目に見えない作業がこのケレン清掃作業。
このような工程は手が抜かれやすいですが、しっかり行っておかないと塗装が短い期間ではがれる原因になります。
うそでしょ!? 外壁塗装は手抜き工事が頻発!?プロが伝える手抜き塗装の手法
小さい穴などパテで補修します。
パテが乾いたら中塗りを塗装します。中塗りが乾いたら隙間などをコーキング、コークボンドなどで処理。
その後、上塗りを塗装して完成。
ケイカル板の塗装には日本ペイントのケンエースGⅡがよくつかわれます。
新規に取り付けたケイカル板の場合
軒天が劣化していて、塗装ができない場合、軒天のケイカル板を新しいものへ交換します。
新規に取り付けたケイカル板の軒天塗装は再塗装と比較すると手間がかかります。
- シーラー塗装
- パテ処理
- 中塗り、上塗り
ケイカル板は表面が粉っぽいので、そのまま塗装すると塗膜がはがれてくる事があります。そのためシーラー塗装を行います。
軒天をとめているビスやタッカーの穴をパテで埋めます。
中塗りを塗装。隙間があればコーキング、コークボンドを充填。
上塗りをして完成。
軒天が劣化していて張り替えたような場合は、このような工程になります。
外壁塗装を一緒に行う場合は再塗装時と同じ塗料が使用される事がほとんど。
外壁塗装の業者に依頼した場合の軒天塗装費用(平米単価)
軒天の一部が劣化して部分的に塗装することもありますが、軒天塗装は外壁塗装工事の一貫としておこわれます。
軒天塗装に足場、飛散防止ネットは必須なのですが、外壁塗装の費用に含まれているので、ここでは単純に軒天の塗装費用の相場をお伝えしておきます。
軒天の塗装費用は面積✕塗装単価で計算されます。
塗装単価の相場は800円/㎡~1500円/㎡程度
地域や業者によって単価がちがうので、あくまで参考程度にご覧ください。
業者選びがすべて! 外壁塗装の優良業者はどこにいる?プロが伝える業者選びのポイント
軒天塗装は必ず外壁塗装業者に依頼しよう!
住まいの軒天を自分で塗装される方もいらっしゃいますが、プロとしておすすめできません。
軒天塗装DIYはNG!? 戸建ての軒天ってDIYで塗装可能?プロがおすすめしない理由
軒天の塗装はあなたが思っている以上に塗料が飛散します。
塗料の飛散で近所の車を汚してしまったりする可能性も。
このようなご近所トラブルをさけるためにも、軒天塗装は外壁塗装業者に必ず依頼してください。
軒天を塗装するには足場が必要です。せっかく足場を設置するのですから外壁や屋根も一緒に塗装したほうがお得。
外壁塗装業者を探す方法ですが「一括見積サイト」をご存知でしょうか?
完全無料で外壁塗装の優良業者を紹介してもらえるサービスです。
外壁塗装の一括見積サイトの登録業者はあらかじめ独自審査を通過した業者のみ。
そのため外壁塗装にはびこる悪徳業者にだまされる心配がありません。
完全無料で利用できる一括見積サイトは他にもメリットがたくさん!
外壁塗装の一括見積サイトのメリット、デメリットやおすすめの一括見積サイトは下のリンク先にまとめてあるので是非ごらんください。
まとめ:一戸建ての軒天はやはり白系がおすすめ
軒天に白系がおすすめな理由は
住まいの軒天を白系以外にしたい場合は信頼のおける塗装業者のアドバイスをもらいましょう。
豊富な知識、経験のある外壁塗装の優良業者を探す方法は「外壁塗装の一括見積サイト」がおすすめ。